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Gynecologic Oncology today 創刊号

​第60回日本癌治療学会学術集会:婦人科がんトピックス

SSY3-2-2 Pembrolizumab plus chemotherapy with/without bevacizumab in east Asian patients with persistent, recurrent, or metastatic cervical cancer: Subgroup analysis from the phase 3 KEYNOTE-826 study

進行・再発子宮頸がんの東アジア症例におけるペムブロリズマブ+化学療法±ベバシズマブ:第Ⅲ相KEYNOTE-826試験のサブグループ解析

西尾 真 先生(久留米大学医学部 産科婦人科学教室)

更新日:2022年12月20日

 進行・再発子宮頸がんの一次治療として、ペムブロリズマブ+化学療法(±ベバシズマブ)併用は、東アジアの症例においても全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を延長することが、国際共同第Ⅲ相試験KEYNOTE-826のサブグループ解析より明らかとなった。
 

 KEYNOTE-826試験において、化学療法未治療で、根治治療の対象とならない進行・再発子宮頸がん患者617例を対象に、化学療法(パクリタキセル+シスプラチンまたはカルボプラチン)±ベバシズマブにペムブロリズマブ(200mg を3週毎静注、最大35サイクル)を併用する群とプラセボを併用する群に1:1の割合で無作為化し比較検討した。ペムブロリズマブ併用群はPD-L1の発現状況に関わらず、主要評価項目のOSおよび治験責任医師の評価によるPFSが、有意に延長したことが報告されている1)
 

 今回の追加解析では、東アジアの症例97例(日本57例、韓国24例、台湾16例)における転帰を評価した。57例がペムブロリズマブ併用群、40例がプラセボ群に割り付けられた。観察期間中央値は22.7カ月だった(データカットオフ:2021年5月3日)。
東アジア集団におけるベースラインの患者背景は2群で差はなかったが、プラセボ群は登録時の転移患者(子宮頸がんに対する治療歴がないステージⅣB期の患者。傍大動脈リンパ節転移を含む)が多い傾向にあった(ペムブロリズマブ併用群16%、プラセボ群33%)。扁平上皮がんの割合はペムブロリズマブ併用群74%、プラセボ群75%、PD-L1発現率が1≦CPS<10だったのがそれぞれペムブロリズマブ併用群46%、プラセボ群45%、CPS≧10がペムブロリズマブ併用群42%、プラセボ群48%であった。試験期間中にベバシズマブを併用した割合はそれぞれ75%、83%だった。

 

 PFS中央値は、PD-L1発現陽性(CPS≧1)の集団(87例)でペムブロリズマブ併用群は未到達(NR)、プラセボ群10.9カ月(HR 0.34、95% CI: 0.17 – 0.68)、東アジア全体集団ではそれぞれ20.0カ月と10.4カ月(HR 0.42、95% CI: 0.22 – 0.77)で、両集団においてペムブロリズマブ併用群が延長していた。2年PFS率はPD-L1発現陽性集団ではペムブロリズマブ併用群54%、プラセボ群18%、東アジア全体集団ではペムブロリズマブ併用群48%とプラセボ群16%だった。
 

 OSもペムブロリズマブ併用群が延長していた。OS中央値はPD-L1発現陽性集団のペムブロリズマブ併用群がNR、プラセボ群20.5カ月(HR 0.38、95% CI: 0.17 – 0.85)、東アジア全体集団ではそれぞれNRと21.3カ月(HR 0.47、95% CI: 0.23 – 1.00)、2年OS率はPD-L1発現陽性集団のペムブロリズマブ併用群70%、プラセボ群51%、東アジア全体集団ではペムブロリズマブ併用群65%とプラセボ群48%だった。
 

 奏効率(ORR)は、PD-L1発現陽性集団のペムブロリズマブ併用群が78%(完全奏効[CR] 19例、部分奏効[PR] 20例)だったのに対しプラセボ群は68%(CR 9例、PR 16例) 、東アジア全体集団ではペムブロリズマブ併用群75%(CR 19例、PR 24例)、プラセボ群68%(CR 9例、PR 18例)で、2集団ともペムブロリズマブ併用群が高かった。奏効期間中央値は両集団でペムブロリズマブ併用群がNR、プラセボ群10.6カ月だった。
 

 治療期間中央値はペムブロリズマブ併用群13.8カ月、プラセボ群11.0カ月だった。有害事象(AE)の発現率は全gradeが両群100%、grade3以上は両群95%、AEによる死亡はペムブロリズマブ併用群の1例、投与中止に至ったAEはペムブロリズマブ併用群25例(44%)、プラセボ群12例(30%)だった。免疫介在性AEおよびインフュージョンリアクションは全gradeがペムブロリズマブ併用群46%、プラセボ群30%、grade3以上はそれぞれ16%、5%だった。ペムブロリズマブ併用群における主なAEは、脱毛症、貧血、末梢感覚神経障害、好中球減少、便秘、悪心、下痢、血小板減少、白血球減少などだった。またペムブロリズマブ併用群では甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症、重度の皮膚反応、甲状腺炎、肝炎などの免疫介在性AEおよびインフュージョンリアクションが発現したが、管理可能であった。

1)Colombo N, et al. N Engl J Med. 2021; 385(20): 1856-67.

監修コメント

監修 上田 豊 先生のコメント

 進行または再発の子宮頸がん(根治治療が対象とならない症例)の一次治療としてのペムブロリズマブ+化学療法(±ベバシズマブ)群とプラセボと化学療法(±ベバシズマブ)併用群のランダム化比較の国際共同第Ⅲ相試験KEYNOTE-826の解析結果が詳細に示された。日本人を含む東アジアの症例においても全生存期間と無増悪生存期間を延長し、安全性においても問題がないことは、今後の本邦での使用において有益な情報である。

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